豪ドル/円相場は、93~95円を中心としたボックス圏での取引になっている。円安を背景とした豪ドル買いの動きが強く、押し目買い基調は維持されている。ただ、対米ドルでは豪ドル安が進んだこともあり、大きな値動きには発展していない。押し目買いと利食い売りが交錯しており、明確なトレンド形成は見送られた。
中国の経済指標に関しては、改善傾向が続いてる。昨年10~12月期の国内総生産(GDP)が8四半期ぶりの伸び率を拡大させたのが象徴的であるが、1月HSBC製造業購買担当者指数(PMI)が3ヶ月連続で50ポイントを上回り、12月工業利益が4ヶ月連続で増加するなど、中国経済のボトム確認を示唆する指標が数多く見受けられる。こうした状況は、豪経済に対しても追い風になるとの期待感が強く、豪ドル相場の下値不安は限定されている。10~12月期の豪消費者物価指数(CPI)は前年同期比+2.2%と市場予測+2.4%を下回った。企業マインドに悪化の兆候が見られると追加金融緩和に踏み切り易い状況だが、現状では直ちに追加利下げなどの政策対応が要求される状況にはない。豪ドル/米ドル相場の軟化には注意が必要だが、特に豪ドルが大きく値下がりする理由は見出せない。リスク投資環境の地合改善を背景に、豪ドルの押し目買い基調は維持されよう。
円サイドでは、28日に安倍首相の所信表明演説が行われたが、特に材料視されていない。「強い経済」回復、2%の物価安定目標実現に積極姿勢が示されたが、これまでの発言内容から目立った変化は見られないこともあり、マーケットは比較的無難にこの材料を消化してる。従来のように、首相発言のみで円が急落するステージは終わっていることが確認できる。ただ、日銀の金融緩和強化の流れに変化はない以上、日豪の金融政策環境の違いは明らかであり、豪ドル高・円安基調は維持される見通し。95円の節目は完全にブレイクする方向でみておきたい。
今後1週間の予想レンジは、93.50~96.50円。